前回、投資家は好んで優良企業に投資するということを書きました。
まぁ当たり前の話ですね。
今回は、具体的な投資先としての個別企業について考えてみたいと思います。
株主資本主義が成熟した米国市場
私は主に国内市場、米国市場に上場している個別企業に投資を行っています。ただ、どちらの市場が投資先としてより望ましいかといえばそれは米国市場であると考えています。
先の記事でも触れましたが、株式市場に参入しているプレイヤーには大きく分けて投資家と投機家がいます。そして投資家の多い市場ではより穏やかに安定的に株価が推移しやすい傾向にあります。
投資家達はより安定した成長が期待でき、株主のことを第一に考えるような優良企業に資金を投じます。
米国は株主資本主義が成熟しており、企業の経営者も当たり前のように株主を第一とした経営を行っています。株主を軽視した経営を行えば、経営者はすぐに解雇され職を失うことになります。
こうした投資家にとって当たり前の風土がある市場こそ投資を行うに適した市場であり、それを満たすのが米国市場ではないかと考えています。
株式投資の利益は株価上昇と配当によってもたらされる
株式投資の利益は主に株価上昇と配当によってもたらされます。
世の中にはいろいろな投資手法がありますが、昨今よく目にする投資手法として、高配当銘柄にしぼって投資する高配当戦略というものがあります。3%~5%という高い配当利回りの企業群に絞って資金を投じる手法です。
これらの高配当企業は成熟した安定企業であることが多く、今後の利益成長が限定的であるため、利益を再投資に回すのではなく株主に還元する方針をとっています。
一方で新興企業などこれからの利益成長が期待できる成長企業では、利益を配当として分配するよりも事業に再投資した方が将来的な利益を極大化できるという見込みのもと、配当を出さずに企業価値の向上による株価上昇という形で株主に報います。
なぜ企業価値が向上すると株価が上昇するのでしょうか。それは株式が将来の配当利益を受け取るための債券だからです。
企業が生み出す利益が大きくなるということは、通常はそれだけその企業の将来の配当も大きくなることを意味します。
したがって株式という債券の価値も高くなっていくのです。
株価は常に実体経済に先行するという特徴があります。株価は「将来の配当利益の割引現在価値」であるため、企業が将来的に生み出す利益が多ければ多いほど、その債権の割引現在価値も高くなるのです。
割高ではない安定成長株への投資が高いリターンを生む
FANGを代表とする米国の成長企業には、今後も毎年10~20%の利益成長を遂げると予想されている企業が多くあります。
もちろんこれらの企業群の株式はどの投資家からみても魅力的であり、それだけ高値で取引されていることが多いものです。
しかし株価収益率(PER=株価÷1株当たり利益)が将来的にも維持されると仮定すると、利益成長の分だけ株価は上昇することになります。すなわち企業の株価も毎年10~20%上昇することになります。
企業の成長性がリターンを大きく左右する。無配当企業の利益が年率20%成長したとして、PERが不変であれば、リターン(株価上昇率)も20%になる。どんな高配当企業でも配当利回りはせいぜい5~6%程度であり、高成長企業のリターンに匹敵するためにはその企業自体も10%台の成長を続けている必要がある。
— ジョン (@otbkjohn) 2017年12月10日
さらにここで大事なことは、将来の利益成長率が予測に基づいているということです。
この予測は一般的には証券アナリストのコンセンサス(≒予想平均)に基づいています。
しかし結局のところ正確な成長率は誰にもわからないため、企業自身が出したガイダンス(業績予想)とそう違わないことが多くなっています。
そして企業はたいていの場合、控えめな目標を設定します。なぜならば目標を達成できなかった時に投資家から大きな失望を買うことがわかっているからです。
(参考:広瀬の外国株式・海外ETFデビュー講座 > テンバガー(10倍株)発掘のためにやってほしいこと)
このような背景があるため、優良企業はたいていの場合、事業が順調であれば自身が掲げた利益目標、コンセンサスを上回る業績を四半期ごとに発表していきます。
このことはすなわち優良企業においては将来の予想PERが高めに見積もられていることが多いということを意味します。
安定した利益成長を誇る優良企業は四半期の決算ごとにコンセンサスを上回る利益を発表するため、決算を追うごとに予想PERが切り下がっていきます。
つまりたいていの場合、優良企業のバリュエーション(企業価値)はやや過小評価されており、株価はその分割高に見積もられていることが多いと言えるかもしれません。
まとめ
ここまでの内容をまとめると、投資先としては
- より安定した高成長が期待できる
ということが最も大事だと考えられ、かつ
- それほど割高ではない
という条件を満たす企業に投資すべきだと考えられます。
そして現時点ではFANGの各銘柄*1がそれを満たしているのではないかと個人的には考えています。
*1:FANGの中でも企業戦略が特殊なAmazonは除きます。