MTGにおけるメタゲーム
マジック:ザ・ギャザリング(MTG)というカードゲームをご存知でしょうか。
世界中に多くのファンが存在し、60枚のカードからなるデッキを用いて対戦を行う対戦型のトレーディングカードゲームです。
世界各地で大小さまざまな規模の大会が開催されていますが、なかには優勝すると数千万円の賞金が得られるような大会もあり、いわゆるプロプレイヤーも存在していたりします。
さて大会で勝ち上がっていくことを考えた時、大切になってくるのは相手がどういうデッキを使ってくるかという事前予想です。
対戦型のカードゲームをやったことのある人なら知っていると思いますが、デッキにはそれぞれに相性というものがあります。
自分のデッキはこういうデッキには有利だが、このタイプのデッキには弱いみたいな感じです。
まぁポケモンのタイプ相性みたいなもんですね。
したがって大会参加者は事前に、次の大会で有利なのはどういうデッキかということをまず考えるわけです。
この大会前の読み合い、戦略の練り合いのことをメタゲーム(Metagame)と言いますが、この読み合いで上を行くプレイヤーは、実際の大会で非常に有利に試合を運ぶことができます。
つまり対戦前のメタゲームにより大勢はほぼ決しているということになります。
メタゲームを制するものが勝負を制す
このメタゲームという言葉は、そこから転じてゲーム前の戦略そのものを指す言葉として広く使われています(と思います)。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という有名な孫子の兵法の一説がありますが、まさにこれも勝負の前のメタゲームの重要性を説いたものです。
戦乱の時代に、その時の戦況に応じて戦略を立案する有能な軍師や参謀がいかに重用されていたかということを鑑みても、その大切さがわかります。

そもそも良き戦略なきところに良い成果は期待できません。
いくら現場レベルで戦術を工夫したところで、肝心の戦略がなければ効率よく無駄なことをやるようなもので、結局徒労に終わることになります。
以前にこんなネタ記事を書きましたが、このポジション取りを決めるというのもまさにメタゲームの一つと言えます。
目の前のことをひたすら頑張るということの前に、何を頑張るか、どこで頑張るかを考えること。
このことが非常に重要ではないかと個人的には思っています。
前述のMTGの大会のように、あらゆる勝負の行方は始まる前に大方決まっていることが多いものです。
人生のメタゲーム
ここで個人の人生を一つのゲームとして捕らえてみたとします。
この人生というゲームにおける勝ちをどう定義するかは人によって様々だと思いますが、ここでは「満足度の高い人生を送ること」としてみます。
それではこのゲームに勝利するために必要なメタゲームとは何でしょうか。
先の先人の教えに照らせば、まず大切なのは己を知ること、つまり自分がどういったことに満足感や充足感を覚えるのかということを知ることです。これは人によって千差万別だと思います(個人的には共通する部分も多いと思っていますが…)。
そして敵を知るとは、それを手に入れるためにはどうすれば良いのかということを研究し、考えることでしょう。
このある意味哲学的とも言える命題について考えることで、自分が真に大切にしたい価値観や目指すべき方向性、そしてそれを実現するための道筋がおぼろげながら浮かび上がってきます。
その時から、これまでとは違った景色が見えるようになり、自分にとっての新しいゲームが始まります。