資本主義ゲーム攻略を目指すものぐさの雑記帳

この仮初めの人生の暇つぶしとして資本主義というゲームの攻略を目指しつつ、日々思ったこと、考えたことを取り留めもなく綴っていきます。

この未曾有のリセッション相場を制するのは

 

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年初来プラスとなったナスダック

今年一月に中国武漢から広まった新型コロナウイルスのパンデミック化により、株式相場は急落、各国は今なお感染拡大への対応に追われており、世界経済は急速な冷え込みをみせています。

中でもアメリカ経済への影響は一際大きく、各州のロックダウンに伴い失業者はうなぎ上りに増加しており、失業保険申請件数は累計で3300万件、失業率は世界恐慌以降最悪の14.7%と、これまでに類を見ない失業者数を記録しています。

またアメリカの第1四半期のGDP成長率は-4.8%と2014年以降初めてマイナスに転じており、リセッション入りは確実とみられています。

しかしこれほど悲惨なマクロ統計が発表されているにもかかわらず、株価は三月下旬に底値を付けて以降、取り立てて二番底を試しに行くようなこともなく戻してきています。

とりわけダウ、S&P500、ナスダックの3指数の中でも、ナスダックは既に年初来でプラスに転じており、そのニュースに多くの投資家が驚いたのではないかと思います。

実体経済にまだそれほど改善の兆しが見えない中、なぜここまで相場は戻し、ナスダックは強いのでしょうか。


ハイテク銘柄が急速に株価を戻した理由

ナスダックには多くのハイテク企業が上場していますが、この相場環境でもとりわけGAFAを始めとするハイテク企業は勢いよく株価を戻してきています。
 
なぜハイテク企業の株価は戻りが良いのでしょうか。少し理論的に考えてみたいと思います。
 
株式投資の理論上の期待リターンである益利回りは
 
 益利回り=リスクフリーレート+リスクプレミアム
 
と表すことができます。
 
また益利回りは 株価収益率 PERの逆数であることから、1/PER=EPS/株価です。
 
よって
 
 益利回り=EPS / 株価 = リスクフリーレート+リスクプレミアム 
 
となり、
 
 株価=EPS / (リスクフリーレート+リスクプレミアム)
 
と表すことができると思います。

今、長期金利はFRBの無制限の金融緩和により0.6~0.7%程度と過去最低水準に抑えつけられており、リスクフリーレートは大きく低下しています。

ここで、たとえばレストランや小売などについて考えてみます。

これらの業態はロックダウンの影響をもろに受けており、かつロックダウン解除後も、どれだけ客足が戻るかわからないなど、今後の見通しもあまりよくありません。

この場合、

 EPS↓↓ / (リスクフリーレート↓↓+リスクプレミアム↑↑) = 株価↓↓

となり、株価は大きく下げることになります。

一方、何らかの理由で業績にそれほど影響を受けず、かつ先の見通しも悪くない場合、

 EPS→ / (リスクフリーレート↓↓+リスクプレミアム→) = 株価↑

となり、分母が小さくなる分、理論的には平時より株価は逆に上昇することになります。

ナスダックに上場するハイテク企業には、今回のパンデミックの影響を受けにくく、この環境下でも比較的業績が安定している企業が多くあります。

加えてサブスクリプションという継続課金型のビジネスモデルを展開している企業も多く、今後の業績の見通しもそれほど悪くありません。

また中にはEコマース、リモートワーク関連、一部のソフトウェア企業など、今の経済環境が逆に追い風となって業績をさらに伸ばしている企業もあり、その場合にはより一層理論株価が上昇することになります。
 

リセッション相場の恩恵を受ける真のディフェンシブ銘柄

二月の下旬から三月にかけて、パンデミックの経済への影響の深刻さが懸念されるようになり、市場参加者の思惑やアルゴリズムによる自動売買などにより、リスク資産である株式は一斉に叩き売られました。

しかし上記のような強固なビジネスモデルを持つ企業の理論株価は平時に比べ、金利の低下という追い風を受けてむしろ上がっていると考えられ、市場心理の改善に伴い、急速に株価を戻してきているのだと思います。

別の言い方をすれば、多くの企業の業績が悪化し、債券利回りも極度に低下する中、ごく一部の業績の安定した銘柄がより一層魅力的な投資対象となり、そこに投資家のマネーが集中しているとも言えます。

このように、どんな環境下でも揺るがないビジネスモデルを持つ企業群。

それらの銘柄群こそ真のディフェンシブ銘柄と言えるのかもしれません。 

感染拡大がいまだ収束せず、この先の見通しにくい経済状況が続く限り、中央銀行は緩和を続けざるを得ず、優れたビジネスモデルを持つ一部の銘柄はその恩恵を受け続ける*1のではないでしょうか。

*1:ただしそれらの企業にも実体経済悪化の影響は少しずつ忍び寄っていると考えられます。