資本主義ゲーム攻略を目指すものぐさの雑記帳

人生の暇つぶしとして資本主義というゲームの攻略を目指しつつ、日々思ったこと、考えたことを取り留めもなく綴っていきます。

クリエイターこそセミリタイアに向いている?

 

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求道者としての道、商売人としての道

『ラーメン発見伝』というかつてビッグコミックスで連載されていたグルメ漫画があります。

おおまかな内容としては、ラーメンバカを自称する主人公が自分のラーメン屋を持つことを夢見て、サラリーマンとして仕事をする傍ら日夜修行に励み、ラーメン職人として成長していく様子を描いたストーリーです。

本作には個性豊かなキャラクター達が登場しますが、その中でもひと際異彩を放っているのが主人公の前にライバルとして立ちはだかる、大人気ラーメン店の店主芹沢達也です。

芹沢さんは事あるごとに主人公に突っかかって勝負を挑み、その度ごとに高い壁となって行く手を阻みますが、要所要所で本質を突く一言を投げかけ、主人公に気付きを与えるメンターとしての影の役回りも果たしています。

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そんな芹沢さんですが、ラーメン界のカリスマとして必ずしも順風満帆な道を歩んできたわけではありませんでした。

同作の番外編では、理想のラーメンだけを追求していた若き日の芹沢さんの苦悩が描かれています。

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この出来事を機に、芹沢さんは理想のラーメンを追い求める職人としての自分をいったん封印して、商売人としてラーメンビジネスを拡大することに徹し、その後フードコンサルティングビジネスでも成功を収めていきます。

これはあくまで漫画の世界の話ですが、歴史を見ても、今でこそ認められている数々の偉業も、発見された当時はむしろ非難の嵐にさらされ、考案者の死後、時間が経ってから初めてその業績が評価されるというケースは多々あります。

以前「楽しいを仕事にすべきか?」という仕事論について書いたことがありますが(※1)、職人のようにひたすらにこだわりを追求しても、必ずしもそれが世間(消費者)から評価されるとは限りません。

むしろ芹沢さんのケースのように、求道者としての道と、商売人としての成功の道はベクトルが違っていることも多いのではないでしょうか。

ただし今日では一個人の成果物でもインターネットを通じて世界中の人に見てもらうことができるようになり、それ以前の時代に比べると格段に正当な評価を得やすくなっているというのも事実だと思います。

つまり大ヒットはしなくとも、その価値のわかる一定のマニア層からの支持があれば、ニッチなビジネスとして成立するということです。

しかし、そもそもクリエイティブな仕事というのは本質的に不確実性が高く、生活の糧を得るという意味での仕事にはあまり向いていないというのもまた確かだと思います。

"気がかり"が創造力を蝕む?

純粋にクリエイティブな活動を生業としていこうとするとき、お金という現実的な問題に突き当たるケースは多いのではないかと思います。

困ったことに、そのことは創造力という点でも決して良い方向には働かないようです(※2)。

米ハーバード大学の研究によると、人は経済状態が困難になると頭が心配事でいっぱいになり、正常な判断能力が鈍りIQポイントも低下することが判明。これによりますます貧乏のスパイラルにはまってしまう

高収入の人では、修理費いかんに関わらずスコアに差は見られませんでしたが、低収入層の人は、修理費が1,500ドルと高額になった時のIQテストの結果が150ドルの時と比べ、13ポイントも下がった

同じテストをインドの田舎のサトウキビ農家にも行ないました。年1回のみの収穫時期直前(貯金が空に近い状態)と収穫後(1年で一番家計が潤う時期)にIQテストをしたところ、収穫後では成績が9ポイントも良かった

いくつものプログラムを同時進行で走らせていたり、容量が許容量スレスレになるとコンピューターの動きが遅くなることは誰もが経験したことがあるでしょう。

貧しさは、まさにその容量オーバーの状態を脳で生み出しており、脳の活動範囲を狭めてしまうのです。


こういった知見は、クリエイティブな精鋭集団として知られるネットフリックスの報酬体系にも取り入れられています。

クリエイティブな仕事には、脳がある程度の自由を感じる必要がある。成果次第で高額報酬がもらえるかどうかに脳の一部が集中していると、すばらしくイノベーティブなアイデアが湧いてくる「自由な認知ゾーン」に没入できていないことになる。だからパフォーマンスが悪くなるのだ。

業績連動給は定型業務には適しているが、クリエイティブな業務にはむしろ逆効果だ。

『NO RULES 世界一「自由」な会社、NETFLIX』 / リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー著


売れないバンドマンがすべきことは、自分には音楽しかないと作曲に命をかけることではなく、最低限生活していけるようなキャッシュフローを作ることだということでしょう。

経済的な不安
→創造力が低下し作品のクオリティが下がる
→さらに経済的に困窮…

という負のスパイラルは回避しなければなりません。

セルフ・ベーシックインカムのすすめ

脳がなぜこのような仕組みを持っているかと言えば、それはおそらく欠乏状態にある時には、あれこれ考えるよりも先にとにかく行動したほうが生き延びやすかったということでしょう。

しかし社会が複雑化した現代では、そのような脳のメカニズムは多くの場合、むしろマイナスに作用してしまいます。

残念なことに、研究結果はあらゆる心配ごとから解放されている人ほど本来の創造力を発揮しやすいということを示唆しています。

ここにも格差が拡大する仕組みが存在しているのです。

ではこれに抗う術はあるのでしょうか。

多くの人にとっての心配事、"気がかり"となるのはやはり経済的な問題だと思いますが、たとえばベーシックインカムのような社会保障制度はその問題をストレートに解決するものです。

またベーシックインカムとまではいかなくとも、セーフティネットの拡充はそれに近い効果を発揮します。

ハリー・ポッターの作者J.K.ローリングが生活保護を受けながら後の大ヒット作を執筆していたのは有名な話です。

翻ってこの国では、コロナ禍での生活保障の実情を顧みても、セーフティネットが充実しているとはとても言い難いと思います(※3)。

そしておそらくはこの先も、そうなることは期待できないでしょう。

なぜなら日本社会はもともとウチとソトを明確に区別する自己責任社会であり、世論が共助・公助を望んでいないからです(※4)。

結局実家が太かったりパトロンがいたりする特殊なケース以外は、個人がなんとかすべき問題であり続けると思います。

個人的に思うこの問題に対する現実的な解決策は、ローコスト生活+投資によるセルフ・ベーシックインカムを作ることです。

少しずつでも資本を形成していくことで、その資本から得られる投資収入がジリジリと増えていき、毎月の生活費をより少ない労力で賄うことができるようになっていきます。

またローコストでの生活に慣れることができれば、それだけ早く、燃料を使わなくとも周回軌道を回れる第一宇宙速度に達することもできます。

その地点に到達することで、クリエイターとしての次のステージへの扉が開かれるのかもしれません。

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