資本主義ゲーム攻略を目指すものぐさの雑記帳

人生の暇つぶしとして資本主義というゲームの攻略を目指しつつ、日々思ったこと、考えたことを取り留めもなく綴っていきます。

"遊び人"というみにくいアヒルの子

 

f:id:otbkjohn:20210711224231p:plain
 

大きな可能性を秘めた遊び人

ドラクエに遊び人という謎の職業が存在します。

回復魔法の使える僧侶、盗むコマンドが使える盗賊など、一芸に秀でパーティから頼りにされる他の職業とは違って、遊び人は勝手きままにあそぶことしか出来ません。

戦士や武道家のように戦闘力に優れているわけでもなく、むしろ体力を含めあらゆるパラメータが低く、かといって特殊装備があるわけでもない、存在意義自体が疑わしいお荷物的存在です。

しかしそんな遊び人には驚くべき秘密の力が隠されているのです。

それは一定のレベルに達することで、作中でも最強クラスの上級職、賢者に転職できるということです。

賢者は"かしこさ"が高く、豊富なMP(マジックポイント)を持ち、攻撃呪文・補助呪文などあらゆる呪文を使いこなす万能選手として大活躍します。

でも現代のニートのような遊び人が、いきなり最強クラスの職業にジョブチェンジできるなんておかしいじゃないかと思った人も多いかもしれません。

しかしながらこのゲームの設定は非常に示唆に富んでいると言えます。

そもそも遊び人がいろいろなことに興味を示し、あそびたがるのは彼らが豊かな好奇心を持っているからです。

さてそんな遊び心の源泉とも言える好奇心ですが、近年になって複雑化した社会において成果を上げるうえでも非常に重要な要素ではないかということが言われるようになってきています(※1)。

コロンビア大学の経営心理学教授であるトマス・チャモロープリミュージク氏によると、テクノロジーが発展し、情報であふれている複雑な世の中でうまくやっていくには、CQ(curiosity quotient=好奇心指数)の高さが求められるのだとか。

CQの高い人は、新しい経験にオープンで、興味を持ちやすいそう。
また、答えのない問題など、あいまいなことに対しても落ち着いて対処できる素質を持っています。好奇心があるからこそ、複雑な問題にも地道に向き合えるのです。


高い好奇心が粘り強く考える力、ひいては問題解決能力にも結び付いているというのです。

また好奇心旺盛な人はいろいろなことに興味を持って知りたがるという知識欲も持ち合わせていることから、知識+考える力 の相乗効果で非常にクリエイティブな発想を生み出しやすいと言えます。

一見チャランポランにしか見えない遊び人は、実はリアル賢者に進化できるという大きなポテンシャルを秘めているのです。

村に生まれた遊び人の運命は…?

さて近年になって注目され始めた好奇心ですが、その程度には国によって大きな差があるようです(※2)。

画像1


上の図はOECDで実施されている国際成人力調査(PIAAC)の結果ですが、日本はとりわけ数的思考力が高いものの、知的好奇心は韓国に次いで低いということが読み取れます。

この結果は、部分的にはその国の教育方針というものを反映していると考えることができるかもしれません。

先の記事(※1)では、長時間労働が好奇心を削いでいるということも指摘されていますが、一方でもともとの民族的な気質によるところも大きいかもしれません。

画像2


このデータは好奇心と関係が深いとされる、ドーパミンのD4受容体(DRD4)の遺伝子多型について調査された結果です(※3)。

DRD4 をコードしている遺伝子配列の長さには個体差があり、遺伝子末端の塩基の繰り返し回数が多いほど、新規探索傾向が強いことが知られています。

長いとされる7回繰り返し型の割合をみてみると、日本人や中国人では0~1%程度なのに対し、ヨーロッパ人では軒並み15%程度の数字が並んでいます。

近年では好奇心の強さは単一の遺伝子によって決まるのではなく、複数の遺伝子の相互作用によって決まる多遺伝子説が有力とされていますが、先のOECDの調査結果からも、少なくとも民族による違いがある可能性は高いと言えます。

また前回の記事(※4)でも触れましたが、日本人は同時に不安を感じやすい民族でもあり、なおのこと新しいことに挑戦したがらない性質だと言えるでしょう。

つまり内にこもって守りに入りやすい村人のような気質が遺伝子レベルで根付いているとも言えます。

さてそんな村人ばかりの村社会にも一定の割合でたまに遊び人が生まれてきてしまいます。

そのような社会で遊び人はどのような扱いを受けてきたのでしょうか。

狩猟採集社会では有用だった勇敢さや獰猛さといった気質が人口過密な集住社会(ムラ社会)では嫌われるようになった。牧畜業では気性の荒い牛は仲間を傷つけるので真っ先に排除される。それと同様に、農耕によってはじめて登場した共同体の支配者(権力者)は自分に歯向かう攻撃的な人間を容赦なく処分しただろうし、また農村社会においても、攻撃的な個人はムラの平和を乱す迷惑者として村八分にされたり、ムラから追い出されたりしただろう。農耕社会では、温厚な気性が選択的に優遇されたのだ。

中国では、7R対立遺伝子に由来する対立遺伝子がかなり一般的なのに、ADHDを引き起こす7R対立遺伝子だけがきわめて稀だ。自然状態でこのようなことが起こるとは考えられないから、中国社会では7R対立遺伝子を持つ者は、人為的に徹底して排除された可能性がある(※5)。


つまりとりわけ農耕社会の歴史の長い東アジアでは、気の赴くままに行動する遊び人は和を乱す存在として抹〇されてきたのではないかということです。

以上はあくまで仮説ですが、和を第一とするムラ社会において決して丁重に扱われる存在ではなかったのでしょう。

白鳥の群れに合流しよう

遊び人は特に現代のような答えのない難問が次々と降りかかってくる時代にあっては大きな可能性を秘めていえると言えます。

しかし村人の多い、保守的な社会ではそのような人は異端者扱いされ、排斥されやすいというのもまた事実かもしれません。

みにくいアヒルの子はアヒル達と一緒にいたところでちっとも浮かばれませんでした。

画像4


遊び人が本来のポテンシャルを発揮して賢者に進化するために必要なのは、やはり本来の白鳥の群れに合流することなのかもしれません(※6)。

その時に遊び人は本当の意味で生まれ変わることができるのではないでしょうか。

 

※1:

※2:

※3:

※4:

※5:

※6: